「除菌」「殺菌」「 滅菌」「 抗菌」の違い、使い分け方、例文
日本は他の国と比べて清潔好きの人が多いと言われています。
仕事の質を高める活動の「5S活動」にも、整理・整頓・清掃・清潔が含まれています。
日本に旅行で海外からきた多くの人が驚くのが、道路や建物などの公共施設が清掃されて清潔なことです。
日本国内では、多岐にわたる「除菌」・「殺菌」・「滅菌」などの抗菌加工製品が市場に出回っています。
除菌・殺菌・滅菌・抗菌などの言葉もたくさん使われています。
これらの言葉は同じように使われていますが、実は少しずつ意味が違います。
除菌・殺菌・滅菌・抗菌は、「消毒」に関係している言葉です。
「消毒」とは、生体やモノに付着している病原性のある微生物を、害のない程度まで死滅や除去して感染力を失わせて毒性を無力化することです。
「消毒」という表現は薬事法の用語になります。
毒性を無力化するという意味では殺菌と同じ言葉ですが、消毒の方法は殺菌以外にもあるので使い分けがされているようです。
消毒するときに使われる、除菌・殺菌・ 滅菌・抗菌の違いを知っていれば役立ちます。
次に、消毒のこと・除菌・殺菌・滅菌・抗菌の違いなどを紹介します。
消毒
除菌・殺菌・滅菌・抗菌の違いを分かるために「消毒」の概要を紹介します。
消毒は、広義では人体に有害な物質を除去または無害化することです。
広義の消毒には化学物質の中和も含まれています。
狭義では病原微生物を殺すことや、病原微生物の能力を減退させて病原性をなくすことです。
消毒とは無菌にすることではありません。
消毒の方法には、「物理的方法」と「化学的方法」があります。
物理的な消毒方法には煮沸消毒があります。
化学的な消毒方法には、手洗いや消毒剤使う方法があります。
「手洗い」には、日常的手洗い・衛生的手洗い・手術時手洗いがあります。
化学的方法で使う消毒剤のアルコール類には、エタノール・イソプロパノール・メタノールなどがあります。
フェノール類には、フェノール・クレゾール石鹸液・ヘキサクロロフェンなどがあります。
界面活性剤には、逆性石鹸・塩化ベンザルコニウム・塩化ベンゼトニウムなどがあります。
ヨウ素類には、ヨードチンキ・ルゴール液・ヨードホルム・ヨードフォアなどがあります。
その他、オキシドール・ホウ酸・酢酸・乳酸・クエン酸・生石灰なども消毒剤です。
次に、除菌・殺菌・滅菌・抗菌の違いなどを紹介します。
除菌と殺菌
除菌・殺菌・滅菌・抗菌の違いを分かるために「除菌」と「殺菌」の概要を紹介します。
「除菌」とは、対象物や、対象空間に含まれる微生物の数を減らして清浄度を高めることです。
法律上では食品衛生法の省令で「ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去することをいう」と規定されています。
洗剤・石けん公正取引協議会が定義する「除菌」とは、「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を、有効数減少させること」です。
上記の細菌にはカビや酵母などの真菌類は含まれていません。
「殺菌」は、「菌を殺す」という意味で細菌を死滅させることです。
殺菌には、殺す対象や殺した程度は含まれていません。
全部ではなく一部を殺しただけでも殺菌といえるので、厳密には殺菌を使う場合は有効性を保証してはいません。
「殺菌」という表現は、薬事法の対象となる消毒薬などの「医薬品」や、薬用石けんなどの「医薬部外品」で使うことはできますが、洗剤や漂白剤などの「雑貨品」については使用できません。
除菌や殺菌の使い方例では、除菌スプレー・除菌ウェットティッシュ・スポンジ除菌・煮沸殺菌・アルコール殺菌などです。
次に、「滅菌」と「抗菌」の概要を紹介します。
滅菌と抗菌
除菌・殺菌・滅菌・抗菌の違いを分かるために「滅菌」と「抗菌」の概要を紹介します。
「滅菌」とは、すべての菌(微生物やウイルスなど)を死滅させ除去することです。
日本薬局方では微生物の生存する確率が100万分の1以下になることを「滅菌」と定義しています。
滅菌の「滅」は「全滅」の滅なので、意味的には菌に対しては最も厳しい対応になります。
滅菌状況は、人体ではあり得ないことなので、器具などの菌に対しての用語になります。
「抗菌」は、近年幅広い商品で使われています。
抗菌とは、「菌の繁殖を防止する」という意味になります。
経済産業省の定義では、抗菌の対象を「細菌」のみとしています。
滅菌や抗菌の使用例では、滅菌済の医療器具・抗菌仕様のトイレ、などです。