ダメな医者をヤブ医者という理由。ヤブの語源。いつから使われた?
ヤブ医者という、お医者さんの呼び方を聞いたことはありませんか。
ヤブ医者の語源や、ヤブ医者の呼び方はいつからなのか気になります。
ヤブ医者の漢字表記は「藪医者」になります。
ヤブ医者(藪医者)は、適切な診療能力や治療能力を持たない医師・歯科医師を指す俗称になります。
藪医者の同義語に「庸医(ようい)」もあります。
次に、ヤブ医者の語源・ヤブ医者はいつから・養父説、などの紹介をします。
ヤブ医者
ヤブ医者の語源や、ヤブ医者と呼ばれるようになったのはいつからなどの紹介をします。
ヤブ医者(藪医者)の語源については諸説あります。
ヤブ医者(藪医者)の呼び方は「藪をつついて蛇を出す」という諺だとする説もあります。
「藪をつついて蛇を出す」の意味は、余計なことをしてかえって事態を悪化させてしまうという意味になります。
他の説には、
・「薮柑子」、「薮茗荷」、「薮連歌」などの、似て非なる物に「薮」の字を冠するところから「藪医者」と呼ぶようになったとする説
・腕が悪くて普段は患者の来ない医者でも、風邪が流行って医者の数が足りなくなると患者が押し寄せ忙しくなることで、“風邪→カゼ(風)で動く→藪”という説
・藪のように見通しがきかない医者という説、などがあります。
1422年に「藪医師」という記録があります。
1283年には「藪薬師」の記録があります。
14世紀末~15世紀頃には使われ始めたのではないかと考えられます。
ヤブ医者以下の医者
ヤブ医者の語源には諸説あります。
ヤブ医者はいつからなのかというのは、15世紀前だと考えられます。
ヤブ医者(藪医者)以下の医者を呼ぶ呼称もあります。
藪(やぶ)以下の、未熟な医者のことを、「土手医者」と呼ぶことがあります。
どうしようもない酷い医者の呼び方もあります。
藪医者にも至らないや、藪にも至らない医者という意味を込めて「筍医者(たけのこいしゃ)」いう呼び方もあります。
人名になぞらえて、藪医者のことを「藪井竹庵(やぶい ちくあん)」という呼び方もあります。
落語などで「藪井竹庵」の人名でヤブ医者を例えることがあります。
養父説
ヤブ医者の語源には諸説あるようです。
ヤブ医者がいつから呼ばれるようになったのは、記録から考えれば14世紀末~15世紀頃ではないかと思われます。
「風俗文選(1706年)」の「藪醫者ノ解」には、「養父」-(ヤブ)が語源とする説があるようです。
但馬国の養父に住んでいたという評判の名医が語源であるとする説です。
「ヤブ医者」は、本来は名医を指す言葉であったとされています。
現在の兵庫県養父市では、名医の名声を悪用して「養父医者の弟子」を騙る者が現れた事で「養父医者」の評判が悪くなり、「藪医者」に変化したのではないかとされています。
名医とは養父出身の旗本である長島的庵(1647~1723頃)ではないかと考えられています。
ただし、蔑称の「藪」の字は養父説よりも古くから使われているので、学問的には支持されていません。
兵庫県養父市ではこの説にちなんで、僻地医療活動を行う若手医師を対象にした「やぶ医者大賞」を2014年から行っています。